(熟練技能者でなくとも建設可能な)大きな陸屋根

2020, セネガル

この職業訓練校の提案では、建設材料と技術が極めて限られたものであると想定し、小屋組みに鎹(かすがい)以外の金属部材を使用することなく(つまり接合部に圧縮のみ作用させ緊張やせん断を発生させずに)、現地の学校教室おいて一般的な7mのスパンを成立させる、簡易な木造トラスを考案した。
地中梁及び臥梁には鉄や鋼の使用を最小限にするため竹筋コンクリートを、壁にはコンクリートブロックやレンガを購入する費用を省くために圧縮土ブロックを使用する計画とした。現地において手に入りやすい材料を使用するとともに詳細部を部材の加工精度を必要としないものにすることで、専門業者でなくとも施工可能な構造体とした。
平面計画においては、セキュリティに考慮し出入口を一か所とするとともに、既存の樹を中心とした中庭を可能な限り大きくとり、内側に向けて解放的な空間とした。教室や職員室、図書室等は敷地境界にぎりぎりまで近づけて配置し、中庭の周囲に幅の広い屋根付きの廊下を設けることで、回遊性のある動線計画とした。

和田誠建築設計事務所と協働