森、あるいはクルギの薄い霧

2020, ラトビア

壮大な北ヴィドゼメ生物圏に溶け込み、クルギ牧場の豊かな自然の一部のような、輪郭のはっきりしない希薄な構造物、それが私たちの提案したTENUEM(tenuousを名詞化したもの)である。
この構造物が内包する展望塔は、木板張りの螺旋階段と各階の展望スペース、最上階の展望室とそこにつながるエレベーターのみで構成されており、それらにキューブ状の細い鉄骨フレームがまとわりついているだけの、最小限の建築である。
一見すると儚く脆弱にも思われる構造体は、全体としてしなやかな強度を保ち、その自律的あるいは自然発生的な佇まいは、建築と自然のあいだの存在、あるいは人工的な自然である。それはこの地域で行われるエコツーリズムの象徴となり、同生物圏の新たなランドマークとなるだろう。

和田誠建築設計事務所と協働

Kurgi Observation Tower Competiton 選外佳作

インタビュー